理由は簡単。聞いてくれるモノがいなくてさみしい。
公園とか、遊歩道もあるけど。あんまり応えてくれない。
もしかして、寮で歌えばみんなきいてくれるのかもだけど。そういうのとはちがうの。
山の中にいた頃は、いろんなものが歌を聞いてくれた。
それは木々とか、風とか。そういうもので、その中にあるよくわからないけれど大きなものだった。
それはういが歌うと喜んでくれた。
葉擦れは喝采のように、風にきらめいてしゃらしゃら鳴った。風は優しく、髪を頬をなでてくれた。
雨の日に舞えば、雨は上がり。嵐の日に歌えば、虹がかかったの。
意味を成さない、意味のない。ただの音と。私のステップが。
いとしさの真綿に包まれたようで。ただ歌えば舞えば、世界がそれを受け止めてくれた。
それをしている時、ういは世界の一部で。全てのものを愛しく感じた。
不思議と、街にいると。人は多いけれど、そういった不思議とへだたってしまうの
それはさみしいのにな
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