ソレは、気がつけば身の内にありました。
私の魂の内側には、神来の洞があるのだと彼が言いました。
生まれながらの神子で、私は内に降ろしたカミを慰撫し歓待する、只人には聴こえざるカミの「願い」を聞き届けることができるのだと。
確かに、何時の頃か私の内側には何か真っ白に輝く眩いもの、ソレでいて冷たく怖ろしいモノがいて。
それはとても純粋で苛烈で、暴力的なものでした。うっかりするとそれが持つ純粋すぎる「怒り」で、頭が真っ白になってしまうのでした。そうすると、私はとても愉快になって世界中を私一人で切り裂けるような気分になるのです。純粋すぎる暴力で、何でも叩き潰せる気がしてくるのです。
けれど、それに流されるのは自分が押しつぶされてすりつぶされてなくなりそうで恐ろしくて。
だからそれを慰撫し、宥め鎮めるために、いつしか私は歌うことを覚えました。
羅刹と共に暮らすようになてからはなおさらに、裸足で野山を歩き回り、鳥のように歌い。美しいものを見て。木の上で足を揺らして。
鳥や獣を侍らせて。
時に、気ままにそれを傷つけてみたりもしました。私の中に白い怒りが一杯になると我を忘れてそうするのでした。
私と「カミ」は別ち難く結びついた一対のようでした。
背後:ういは御霊神の魂依姫のイメージです。
彼女の中の御霊もまた、若く荒ぶるカミです。ういは幼いので、感情が高ぶると御霊の『怒り』に振り回されてしまうこともあります。実際彼女は身の内に宿った『カミ』と意思疎通は行えてません。
いわゆる巫女さんとは違い、そういった修行を行ったわけでもない野良シャーマンなので、ひどく原始的で自己流な御霊鎮めの方法しか知りません。
また、彼女を育てた羅刹は、彼女を大事にしたので羅刹に対して宿敵というイメージはわきにくいです。むしろ自分を「鬼の子」だと思っていて…それを言ったら、周囲に叱られたり遠ざけられるんじゃないかと思ってびびってます。
なので「自分のことを説明できない転校生」なのです
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