ういの思い入れの品といえば、くまのぬいぐるみ。
たぶん、両親と一緒にいた頃に買ってもらったものだと思う。
たぶんというのは、やっぱりそれについての記憶がすっきりさっぱりすっからかんとないからです。
ういには、羅刹と暮らす前の記憶はないです。
ただ、赤い。赤だけ。真っ赤だけ。
……まぁ、それは関係ないからいいや。
ともあれ、私は気がつけばそれを片手に持っていたし。
いろいろままならない羅刹との暮らしの中で、ただひとつ思い通りになるクマのぬいぐるみは。
投げられて叩きつけられて、かんしゃくに噛みつかれて。
おかげさまでボロボロになっている。
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