…「あのヒト」なら、淫魔の誘惑に屈するなんてなかった。
　絶対ない。

　近づけさせすらしないだろう。
　

　たやすく、陥落するものどもの、愚かさがキライ。
　醜さを、その臭気を嗅ぎ分けられないようなものどもは大嫌いだわ。


　とっとと灼滅されてしまえ。

　朝、鏡の前で。
　毛先ばさばさでふわふわと納まりの悪い髪を、指先でつまんで


　ため息をつく。


　髪の色。もっと、キラキラだったらよかった！

　ういの髪は、ごくふつーのどこにでもある、平凡な茶色。
　茶色、としか表現できない茶色だわ。

　紫姫ちゃんの銀色はいいな。キラキラ。お日様に当たると雪の照り返しみたい。キラキラ。

　ウルスラちゃんの髪は紫。不思議な色！触ってみたくなる！

　ふーこちゃんの白は、衣装にあいまって薄紅に映る。


　だからういはため息をつく。なんか面白みのない色だわ。

　学園に引き取られてすぐに、はさみでばっさり切り落とされた髪。

　何しろ、前はとても長くて、腰下まであったから。
　けれど……

　目が、覚めたときにはばっさり。首元で切り落とされてた。




　

　古いCDの、表のハートにひかれて。

　聞いたのはブルガリアの民族音楽？




　赤い頭巾をかぶった女性たちが、民族衣装のまま踊っているような気がした。ランランラララ……

　

　…金髪緑目のお兄ちゃんと。
　銀髪青目のお兄ちゃんがいます。


　Σういはどっちにも似てないわっ！？（あたりまえ）