…ういは、羅刹に育てられた。
アレを育てられたといっていいのかはわからないけど、でも…少なくとも衣食住を保障されてはいたわ。
お屋敷と、冷たい水と、薄い着物。
靴がなくて、いつまでもいつまでも小さな靴を履き続けた。(子供のために靴を用意するなんて発想、羅刹にはないから)
だからういの足は、今でも人よりちょっと小さい。(20センチをちょっとこえたぐらいなの、よく転ぶ)
靴がいつまでもきつきつ痛かったのとかを、覚えてる。
でもいつか、ぼろぼろの靴をあきらめて裸足で土を踏みしめた時の、なんだかとてもせいせいしたみたいな
何だ、こんなかんたんなことだったんだ!なんて思う気持ちも、忘れられない。
たぶんそんなものなんだと思う。
……今でも、信じているかといえば。ぜんぜん信じていないけど。そもそも最初から、信頼も何もないと思うけど。会ったら殺すけど。
……でも、彼らに育てられた私たちは、逢魔ヶ時に惑う。心のどこかで、信じたいと思うのだろう。そして信じられないと苦しむ。矛盾ってやつなのだわ。
…なんて、ことを思ったのは…ええとウロボロスブレイドを持った子の依頼が出たから。
なんてことはないのだけど。
ないのだけど。
育ての親を信じたいとか、ばかみたいとかおもっただけ
PR