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このブログはトミーウォーカーのPBW「サイキックハーツ」内に存在するキャラクターの設定などを置くブログです。  わかんない人は見ないほうがいいと思う
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 このブログはトミーウォーカーのPBW「サイキックハーツ」内に存在するキャラクター『雪片・羽衣』のキャラクター日記です。
 なりきりやそういった類が嫌いな方は、お戻りください。
 あと此処にあるイラストは、株式会社トミーウォーカーの運営する『サイキックハーツ』の世界観を基に、作成されたものです。
 イラストの使用権は作品を発注したPL(ういの背後さん)に、著作権は各絵師様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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秋の夕日にてる山もみじ



 …まっか。

 二人が真っ赤になって転がって。
 ぬいぐるみをぎゅっとした女の子は立ち竦む。

 大きな瞳が見開かれ、両親の血の色を写しこむようにその色合いをじわりと変えた。
 
 幼児の理解力をはるかに越えてしまった出来事が起きて、それでもその事象を飲み込もうとしている。
 飲み込もうとしている。
 理解しようとしている。
 
 加害者である鬼は、それを見ていた。
 小さな子供が、理解した時の変化を待っていた。
 壊れて笑い出すか。哀しみに泣き出すか。それとも。

 内に宿したモノが、その内側を喰らい尽くして羽化するか。

 起こした惨劇の、次幕が上がるのを待っている。

 




 「……パパ、ママ」
 「死んだ」

 少女にも届かない、稚い子供の声に鬼はあっさりと告げた。

 「なんで?」
 「殺した」
 「ころすってなぁに」
 「命を奪うってことだ」
 「うばうってなぁに」
 「勝手にするってことだ」
 
 瞬きもできず、両親を見つめているくせに、子供の声は静かだった。涙で潤むこともない。ただその小さな体がふるふると震えている。
 壊れて笑い出す寸前、なのかと思えた。だとすれば興ざめだ。壊すのは好きだが、勝手に壊れるものには興味がない。
 
 「お前も殺すか」
 
 興味の失せた声に、初めて彼女はこちらを向いた。その目は、先ほどまでの薄茶とは違い。真朱にきらきらと輝いていた。

 「へんなの!」

 全身で叫んだ少女は、間違いなく怒っていた。壊れるでも、泣くでもなく。ましてや内側の「闇」に食い破られることもなく。ただただ、その場で地団駄を踏みながら自らの魂すら焼き尽くしそうなほど徹頭徹尾、心の底から怒り狂っていたのだった。
 そして自分の内側にある言葉の中から、もっとも「納得いかない」を引きずり出してたたきつけるように叫ぶ。
 彼女は怒っていた。全身で、自らの存在をかけて。この事象が気にくわない、納得いかないと叫んでいる。正気どころの騒ぎではなく、目の前の絶対者に向けて幼いながら真っ向睨みつけて、まったくこれ以上ないほど正当に。ごもっともに怒っている。
 許さないとか、何でとかではない。理由や理屈を述べられたら、鬼はそれごと叩き潰しただろう。しかし、彼女はそんなもの全てを吹っ飛ばして、純粋にただ、怒っているのである。
 そしてその叫びで地団駄で。この陰鬱な死の情景を、滑稽なまでにぶち壊しにしてしまう。
 証拠に、鬼のほうが呆れて彼女を見ていた。

 
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